# 介護職の給与と待遇改善について知っておきたい3つのポイント
ポイント1:介護職の給与水準と実際の手取り額
介護職への就職を考える際、給与は重要な判断材料です。現在、介護職員の平均月給は約28~32万円程度とされていますが、この数字だけでは実情が見えません。
重要なのは「基本給」と「手当」の内訳です。基本給が低く、夜勤手当や資格手当で補填されている職場も多くあります。つまり、基本給が20万円で手当が8万円の場合と、基本給が28万円で手当が4万円の場合では、生涯賃金や退職金計算に大きな差が生まれます。
また、介護職員処遇改善加算※という制度により、条件を満たす事業所では給与が上乗せされています。求人票を見る際は、この加算の有無を確認することが重要です。さらに、賞与(ボーナス)の支給状況も確認してください。年間で2~3ヶ月分支給される職場もあれば、ほぼ支給されない職場も存在します。
※介護職員処遇改善加算:介護職の待遇を改善する目的で、国が事業所に対して支給する補助金
ポイント2:勤務体制と実際のワークライフバランス
介護職は24時間体制のサービスが必要なため、シフト制勤務が一般的です。夜勤、早番、遅番など不規則な勤務になることを覚悟する必要があります。
職場選びの際は、夜勤の頻度を確認しましょう。月に4~5回の夜勤と月に8~10回の夜勤では、心身への負担が大きく異なります。また、「夜勤明けの休み方」も重要です。夜勤後に連続で翌日の日中勤務に入る職場は避けるべきです。
有給休暇の取得状況も確認ポイントです。制度上では年間10日以上の有給がありますが、実際に取得できるかどうかは職場の人員配置や文化に左右されます。面接の際は、「昨年度の平均取得日数」を聞くことをお勧めします。
さらに、育児や介護との両立を考えている場合は、短時間勤務制度やパート転換制度の有無を確認してください。介護職といえども、自分自身のライフステージに対応できる職場を選ぶことが長続きの秘訣です。
ポイント3:キャリアパスと専門資格の活用
介護業界では、資格取得により給与アップの道が開かれています。無資格から始められる職場も多いですが、キャリアの選択肢を広げるため、計画的に資格を取得することを推奨します。
まず初心者向けには「介護職員初任者研修※」があります。これは約1ヶ月で取得でき、基本的な介護技術を習得できます。次のステップとして「介護福祉士実務者研修※」があり、その後「介護福祉士※」の国家資格取得を目指せます。
※介護職員初任者研修:介護の基礎知識と技術を学ぶ研修
※介護福祉士実務者研修:より実践的な知識と技術を学ぶ研修
※介護福祉士:介護職の国家資格で、給与が月3~5万円上がる場合が多い
重要な点として、資格取得費用を全額または一部負担してくれる職場が増えています。求人票に「資格取得支援あり」と記載されていれば、経済的な負担なく成長できます。
また、職場内での昇進の道も確認しましょう。ケアマネジャー※や管理職への昇進機会がある職場なら、長期的なキャリア計画を立てることができます。
※ケアマネジャー:高齢者や障害者のための介護サービス計画を作成する専門職
介護職は労働環境の改善が急速に進んでいる業界です。自分の適性と人生設計に合った職場を慎重に選ぶことで、やりがいのあるキャリアを築くことができるでしょう。