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利用者さんとお花見へ。重度訪問介護の外出支援レポート

介護の仕事というと、食事や移動、排せつなどの介助を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、大切な仕事です。それと同時に、利用者さんが季節の景色を楽しみながら過ごすための外出をサポートすることも、支援のひとつです。

桜の恋では、重度訪問介護の外出支援も行っています。
3月29日の日曜日、重度訪問介護の利用者さまと、新宿御苑へお花見に出かけました。

今回は、その一日の様子を記事にまとめました。
以下、同行スタッフの取材記事です。本稿では外出をサポートするスタッフを「介護士(ヘルパー)」、以降は「介護士」と表記します。

朝7時半に竹ノ塚を出発

当日は混雑のピークを避けるため、少し早めの出発でした。朝7時半に竹ノ塚(東京都足立区)を出て、新宿三丁目へ向かいます。

介護士さんが利用者さんに新宿三丁目までの行き方を聞くと、利用者さんがスマホでルートを確認します。行きは竹の塚から西新井へ。東武線ー半蔵門直通にのり住吉へ出て、そこから都営新宿線で新宿三丁目へ。
車椅子で電車の乗り降りをするときは、駅の改札で駅員さんに声をかけ、スロープを用意してもらいます。

障害のある方の外出支援における、周囲とのコミュニケーション方向の調整

「どの車両に乗るか」「何本後の電車にするか」といった確認をする際、駅員さんの視線はついつい介護士に向けられがちです。しかし、この外出の主体はあくまで利用者さん本人です。

たとえば話すことが困難な障害があっても、ご自身で状況をしっかり理解し、判断されているもいらっしゃいます。一方で、周囲の人がそうした事情を詳しく知っているとは限りません。

駅員さんが介護士に向かって話し続けてしまうような「無意識のズレ」が生じたとき、「私ではなく、利用者さんに聞いてください」と一言添えて、会話の主体を本人に戻す。その場で臨機応変に対話のバランスを調整することは、介護士として一歩踏み込んだ大切なスキルになります。

桜は七分咲きから八分咲き、園内はお花見日和のにぎわい

新宿三丁目に着いて地上に上がった後も、介護士さんが「新宿御苑までの行き方まかせます」と言うと、利用者さんが「もう目の前だよ」と。

9時少し前くらい、まだ開演前でゲート前に列はできていましたが、それほど並ばずに中へ入ることができました。

前日までは五分咲きくらいだった桜が、当日は一気に咲き進んでいて、七分咲きから八分咲きくらい。園内はたくさんの来場者でにぎわっていました。

混み合うというより、天気のいい日曜日に、お花見のピークらしい人出になっていた、という感じです。この時期、新宿御苑は入場制限をしているので、身動きが取れないほどでははありませんでした。

園内に入ってからは、桜を見ながら「あそこもきれいですね」「こっちもいいですね」ときれいに咲く桜のスポットを目指して、どんどん先へ。見て回っているうちに、気がつけば新宿御苑を一周していました(笑)。

ランチはレストランゆりのきで

お昼は少し早めに取りました。ランチは新宿御苑のレストランゆりのきへ。

この日は、つぶら乃の海苔弁当と、だし巻き玉子のサンドイッチをいただきました。前回は鮭弁当だったそうですが、今回は鰆の西京焼きです。
利用者さんは持参のフォークを使って食事をしていました。

ランチ時は、利用者さん、介護士さんで、日常のたわいもない会話を交わしながらのお食事です。
介護士さんは数学と物理が得意で勉強ができたこと、利用者さん(&取材スタッフ)は「自分は勉強はいまいちだった」と話していたことなど、三人で笑いながら話が盛り上がりました。

今食べているお弁当もおいしいのに、もう「次に来たときは何を食べようか」という話になるのも、この日のランチらしいところでした。

休憩はSASAYAIORIでソフトクリームとごままんじゅう

午後はSASAYAIORIで休憩しました。利用者さんはおみあげのごままんじゅうを購入。介護士さんは抹茶のソフトクリームをいただきます。

休憩場所はかなり混み合っていましたが、席を譲ってくださったご婦人がいて、花の名所の話をしながら少しおしゃべりする時間もありました。ごままんじゅうをおすそ分けする場面もあって、休憩の時間もにぎやかでした。

利用者さんの移動は安定していて、外出も自然に進みました

利用者さんは電動車椅子を使っています。都内のようにエレベーターがあり、歩道も整っている場所では、移動も安定していて、とても自然に進んでいきます。

同行の取材スタッフの印象では、新宿三丁目までの移動も、新宿御苑の中での移動も、特別に身構えるような感じはほとんどありませんでした。スタスタとスムーズに駅や街中を進む二人に、むしろ私は後ろからついていく場面も多く。車椅子だから大変そう、という印象はほぼなかったです。

東京都内では、交通や駅、歩道が整備されていることや、駅員の人手確保など、ある程度整備された環境面があります。
それと同時に、外出が好き、車椅子の操作が上手、コミュニケーションが得意といった利用者さんのキャラクターによっても、できることは変わってきます。

何かが実現できるかどうかは、障害のあるなしにかかわらず「時、人、場所」における条件や特徴などの掛け合わせの部分も大きい。物事が成立するかどうかという点では、その他あるあまたのことと同じことなのだと感じました。

帰りは岩本町・秋葉原を経由して竹ノ塚へ

帰りは、駅のエレベータの位置の関係で、行きとは少し違って、新宿三丁目から岩本町へ出て、秋葉原駅の方へ移動し、そこから東武線に乗って竹ノ塚まで戻りました。

「楽しい一日」のすぐそばにある、欠かせない配慮

取材で同行しているあいだ、利用者さんと介護士さんは、とても自然に新宿御苑での時間を過ごしていました。桜を見て、食事をして、休憩して、また移動する。外から見ていると、本当に楽しいお花見の一日に見えます。

とはいえ、利用者さんの身体に負担がないわけではありません。
長時間同じ姿勢を続けることによる足の痛みや、暑さ、日焼けへの注意など、常に気を配る必要があります。特に、自ら身体を動かすことが難しいと、体温を調節する機能も働きにくくなります。そのため介護士さんは、利用者さんの体温変化や発汗の状況に常に意識を向け、上着の調整や日差しへの対策を欠かしません。

適切に汗をかいて熱を逃がせるよう、水分補給を行い、それに伴うトイレのタイミングを計ることも大切な支援です。身体の機能として、どうしてもトイレを我慢することが難しい。
そうした特性があるからこそ、車椅子でも入れるトイレは常に利用可能な状態であってほしいという切実さがあります。多目的トイレが空いていることは、外出の継続を左右するほど重要な要素なのです。

利用者さんの身体状況と、それを深く理解する介護士がそばにいること。
二人の協力があるからこそ、新宿御苑でのお花見の時間が成り立っていたのだと思います。

介護という仕事は、利用者さんの「行きたい」「やりたい」という意思を、さまざまな観察・配慮、コミュニケーションで支えていくものです。

利用者さんとともに過ごす時間が、こうした一つひとつの積み重ねで形作られていく。その「当たり前で、でも大切なこと」が、これから介護の仕事に触れる方に伝わればいいなと思います。

3人で記念撮影

桜の恋の介護士さん、利用者さま、取材スタッフ、3人で、思いっきり笑って、おいしいものたべて、たくさん移動した1日でした。